F.C.rivièreではなかったけど、F.C.rivièreになるある日

その日は、いつも通りの「バイト先フットサル」から始まった
時系列はちょっと前後しますが、「たぶんこの日が、F.C.rivièreのきっかけになった」と思える出来事があります。
その日は、いつものようにバイト先の恒例フットサルをしていました。学生が多い職場で、休みの日に集まって、ボールを蹴るそんな日があります。いわゆる“エンジョイフットサル”で、勝敗よりも「楽しい」が一番上にある時間です。
いつも通り、フットサルが終わったらコートの外で輪「次回もみんな参加してな〜」みたいな、ゆるい会話をして解散。たぶんその日も、そんな流れになるはずでした。
でも、その「いつも通り」は、コートの外で突然方向を変えました。
僕らがダラダラと片付けをしながら話していた時、向こうの方からひとりのおじさんが、こっちに向かって歩いてきました。何かを言いたげな様子でこちらに向かって歩いてきました。
「なんやろ?」と思っていたら、そのおじさんが声をかけてくれました。
話を聞くと、どうやらその方たちはチームSHIRASAGI。この日に対戦予定だった相手がキャンセルになってしまい、急遽対戦相手を探していたそうです。
僕らはバイト先のエンジョイフットサルで、経験者も未経験者も混ざっていました。だから一瞬、迷いもありました。
けど、縁も縁。
「やりたい人だけ残って、試合しようや!」
ということで急遽フットサルの試合をする流れになりました。
「楽しいフットサル」と「勝負のフットサル」の間にあったもの
僕らが普段やっていたエンジョイフットサルは、言ってしまえば“遊びの”フットサルでした。ミスしないことや連携を詰めることよりも、とにかく楽しいこと。未経験の子が置いていかれないように、経験者が少し守備に回ったり、キーパーをやったり、ゴール前では無理に打たずにパスを選んだり。
それはそれで、めちゃくちゃ良い時間です。誰かが楽しめてないなら、その場は成立しない。だから自然と、経験者が「雰囲気を守る側」になる。そういう優しさが、僕らの集まりにはありました。
でも、SHIRASAGIさんとのフットサルは、明らかに違いました。
まず、1対1の勝負。球際の寄せ。パスの速さ。動き直し。声。ゴールへの積極性。
全部が「勝負」でした。もちろん荒いという意味じゃなくて、“本気でやってる”のが伝わってくる感じ。こっちも自然と熱くなる。いつものように「まあまあ〜」で流せない。
気づけば、こっちもスイッチが入っていました。
面白かったのは、戦術とかを決めていたわけじゃないのに、ちゃんと試合になったことです。
ここで言う「ちゃんとできる」は、強いとか、レベルが高いとか、そういう意味じゃない。僕の中ではむしろ、“チームとして勝負に熱くなれる”という意味でした。
全員が同じ方向を向いて、目の前の1点を取りに行く。戻る。声を出す。悔しがる。喜ぶ。次のプレーに切り替える。
その一連が、自然と起きていた。
「チーム結成!」と思っていた気持ちは、その前からありました。
でも、「試合って成立するんかな」みたいな不安もあった。いつもみたいにゆる〜っとなったら相手にも失礼だし、みんながチームという帰属意識を持ってできるのか少し不安だった。
それがこの一戦で、ふっと消えました。
“あ、これ、ちゃんと試合できるわ”って。
その瞬間が、僕の中ではF.C.rivièreの始まりに近い。
年上のSHIRASAGIさんから学んだ、「続ける」っていう強さ
もうひとつ強く残っているのは、SHIRASAGIさんが僕らより遥かに年上の方たちだったことです。
年齢が上だと、体力的には不利に見える場面もある。確かに体力面では上回っていた。でも、チーム感というか、ちゃんと仕掛けてくるしシュートも打ってくる。 ルーズボールは年齢関係なくガッツリくるし、とにかく昔からみんなでボールを蹴ってきた感じ。
正直一つひとつのプレーで見ると負けてはなかったが、雰囲気というかチーム力としては格上でした。
「あ、これが“普段からチームでやってる人たち”のプレーやな」って、素直に思いました。
話を聞くと、普段からチームで集まって練習や試合をしているそうです。
それが一番ええなって思ったところ。
上手いとか強いとか以前に、「続けてる」こと自体が、すでに強い。集まる場所があって、そこに仲間がいて、いつものようにボールを蹴って笑う。
それを何年も積み重ねてきた人たちのプレーは、技術にも空気にも出るんやなと思いました。
スコアは正直覚えていません。細かい点数も、どの順番で勝ったかも曖昧です。
でも、得点数的に勝ったのは覚えています。たぶんこっちも結構点を取れた。あの熱量に引っ張られて、こっちのプレーも普段より前のめりになっていたと思います。
ただ、勝ったことよりも、あの試合の“濃さ”が残ってる。
「この感じ、もう一回やりたい」って思えたのが大きかったです。
F.C.rivièreとしてではなく、F.C.rivièreになる一歩だった
この日、僕らはまだF.C.rivièreではありませんでした。
たぶん名前もなかったし、ユニフォームも揃ってないし、チームとしての形もない。
ただ、あの瞬間だけは確実に「チーム」だった気がします。
バイト先のエンジョイフットサルは、あくまで“集まり”。それはそれで最高。
でもSHIRASAGIさんとの試合で、僕らは“集まり”から一歩踏み出して、「勝負する側」に足を置いた。
それが、僕にとっての“結成のきっかけ”です。
もちろん、この日ひとつで全部が決まったわけじゃない。
その後にコートを探したり、対戦相手を探したり、日程調整をしたり、少しずつ“チームっぽいこと”を積み重ねていった。それからどんどんキャプテンをやってくれる子が出てきたり、イケてるチーム名を出してくれる子が出てきたり、マネージャーをしてくれる子が出てきたり。
でも、最初の火種は間違いなくあの日にあった。
「試合って、楽しいな」じゃなくて、「勝負って、楽しいな」って思えた日。
そして「これなら、続けられるかもしれない」と思えた日。
チームSHIRASAGIの皆さん、あの日は本当にありがとうございました。
対戦相手が急にいなくなって困っていたところに、たまたま居合わせた僕らを誘ってくれた。あの“おじさんが歩いてきた瞬間”がなかったら、F.C.rivièreの始まり方は全然違ったかもしれません。
いくつになっても、みんなで集まって、ボールを蹴って、笑い合う。
SHIRASAGIさんの姿を見て、「それって最高やな」と素直に思いました。
僕たちも、そんなチームになれたらいい。
強さとか、上手さとかより前に、まずは集まって、蹴れる場所をちゃんと残していきたい。
その中でチームとして強くなっていきたい。
F.C.rivièreではなかったけど、F.C.rivièreになるそんな日だった。
たぶん、あの日のフットサルが、僕らの“最初の一歩”でした。

